大らかな空間と空気を持つお寺
建築探訪_1 慈光院(奈良)
奈良駅から車で30〜40分ほどに位置する、住宅地の中にある小高い丘の上の寺院です。
家具に関係ないのでは?
、、、たしかに直接的にはありません。
ですが、とても「座ること」について考え抜かれた建築です。
そもそも、「座る」という行為に対して「椅子座」と「床座」があります。
現在私たちは家や学校、会社で椅子に座る機会が多いですが、椅子は西洋から入ってきた文化です。
その「椅子座」という文化が入ってくるまで、日本では床に座る「床座」が主流であり、この慈光院は「床座」についてよく考えられた建築なのです。
写真はお座敷に座った時に撮った写真ですが、この視点の高さからだと
松の植え込み、生垣、向かいの山
と近景から遠景まで取り込んだ景色が広がります。
こういった手法は借景といいますが、この建築ではその景色を建物の軒と縁側、柱というフレームで切り取られ、一枚の絵のようになっています。
このお座敷に座ると日々違う絵が眼前に広がります。
椅子という座るための家具はないですが、この慈光院は座るという家具スケールの人間の動きを考えて作られた家具的な側面のある建築だと思います。
これも家具と建築の一つの答えなのかもしれませんね。
〜あとがき〜
この慈光院ではお座敷にてご住職にお茶を振舞っていただけました。(あらかじめ要予約?)
その際、座布団に正座をして待っていたら
「そんな堅苦しい格好ではなく、足を崩して下さい。ここで肩肘張らずくつろいで過ごして下さい。」と言われました。
「形式にこだわらず、ただお茶を飲んでお話しして、ゆったり過ごせばいい。それがきっと本来のお茶の楽しみ方です。」と。
中心地から少し離れたところに位置する、というのもあり、とても大らかな空気を感じました。
また何度でも訪れたい建築です。
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